【スペシャルインタビュー】株式会社世田谷サービス公社様 「誰もが輝いて働ける企業」実現へ向けて
最新・スペシャルインタビューを掲載いたします。
「誰もが輝いて働ける企業」実現のための
人材ビジョン策定や人事・組織改革を支える
世田谷サービス公社様は、区の外郭団体として公共施設の維持・管理や施設内の飲食サービス施設運営、高齢者・障害者雇用推進、区のICT支援、コミュニティFMの経営などを行っています。アビライトでは接遇研修をきっかけに、人事制度・組織改革や経営基本方針の策定や実行支援をお手伝いさせていただいています。同社の岡田篤社長にその経緯や感想をお聞きしました。
お客様名:株式会社世田谷サービス公社
社員数:約800人
所在地:東京都世田谷区
関連URL:プロジェクト活動レポート
ご回答者様:代表取締役 社長 岡田 篤 様
ご依頼内容:人事制度課題整理/再構築計画策定、評価制度改革、定年制度再構築、階層別/マネジメント/ビジネス系研修企画設計
接遇研修から人事・組織改革へ
――アビライトとのこれまでの関わりを教えてください
岡田: 私が社長に就任したのは2021年ですが、それ以前の2016年から世田谷サービス公社はアビライトさんの接遇研修を受けるなど、つながりがありました。その後も中長期の人材育成計画の策定や、女性活躍に関するプロジェクトを進めるにあたり、社員が主体の議論で「こんな会社にしたい」という声をあげる動きがあり、継続してアビライトさんにもお手伝いいただきました。私も社長就任後に、それらの資料を見て非常に有意義で面白い取り組みだと感じ、安部代表に「ぜひ本格的に一緒にやりましょう」とお願いして、2022年から人事制度改革をコンサルティングいただくことになりました。
――社長に就任されてどんな課題を感じられましたか
岡田: まず強く感じたのは、人事制度が実際の組織にそぐわないなと感じる構造になっていたことです。当社は世田谷区の外郭団体として、区出身でキャリアを重ねる方もいますし、プロパーの社員も多く活躍しています。そして雇用形態も正社員、契約社員、パートタイム等と多様です。しかし、それぞれが別の人事制度のもとで働いていました。そして、現場では非正規従業員の方々が戦力になっているという場面も多い状況でした。この雇用形態による評価や処遇の格差が、組織全体の一体感や、従業員のモチベーションに悪影響を及ぼしているのではないかと考えたのです。
変革のビジョンや道筋への的確なアドバイス
――具体的にどのような改革に取り組んでこられたのでしょうか
岡田: 最初は現状把握から始めました。人事に詳しい社員と一緒に、従業員の属性を年齢軸と報酬軸でマッピングし、制度上の課題を可視化しました。そのうえでプロジェクトを発足させ、アビライトさんと月1回の定例会を中心に、テーマごとに議論を重ねていきました。特に人事考課制度や等級制度の設計、スピード感をもった見直しが必要な状況において、アビライトさんからの分析や提案が非常に的確で、制度の本質を学びながら前に進むことができ、給与制度の改善など、優先順位を整理して改革に着手しました。
――アビライトからの提案やサポート内容はどのようなものでしたか
岡田: まず「この会社ではどんな人材に活躍してほしいのか」という人材ビジョンを創るべきだという提案をいただいたのが印象的でした。「どんな人材になってほしいか」「どんな人を、将来的に採用していきたいのか」を本社と現場の両方で構想を練った上で、それにふさわしい人事制度を組み立てていく。この順番が非常に重要であり、納得感も高いものでした。
このビジョンに従って“誰もが輝いて働く企業”を目指すための人事制度の再設計を行いました。例えば就業年数にしばられず、「20代でも役職者になれる」といったような、先例のない昇格基準の大幅な見直しを実施しました。また、定年制度も大胆に変更しました。区の基準にあわせて段階的に引き上げるのではなく、アビライトさんの助言により一気に65歳定年へ移行しました。そして個人のライフプランに応じ、60歳での退職や再雇用希望など個人が複数の働き方を選べる制度を設けました。これにより社員の納得度も高くなり、スムーズに制度を移行できたと思います。
「常に隣にいる」ような伴走型支援
――アビライトの支援姿勢で印象に残っていることは
岡田: 最初に「私たちが隣に机を並べていると思ってください」という言葉をいただいたことが、大変ありがたかった。その言葉通り、常に私たちとともに伴走するスタンスを貫いてくれています。実際に定例会などで議論を深めるだけでなく、時には「ここまでは期待していなかった」と思うようなことまで踏み込んで対応し、必要なことは何でも力を惜しまずやってくださることに驚きました。その最たる例が、全従業員を対象に行ったサーベイ(アンケート)の分析です。公表にあたって、記述内容の重要度を精査して、非常に短期間で的確な分析と提案を出していただきました。あの仕事の質の高さとスピードは今でも印象に残っています。
――改革を進めていく中で、難しさを感じたことはありましたか
岡田: やはり、社員の中には改革による変化を受け入れるのに時間がかかる方もいました。大手企業のコンサルティングをメインにしているアビライトさんの提案に「そんなに性急に進めて、大丈夫なのか?」と戸惑う声もあったことは事実です。しかし、アビライトさんには常に「従業員との対話」を重視していただき、トップダウンで押しつけるようなことはありませんでした。先ほどお話ししたアンケートでも、通常は公開しない自由記述の意見まで含めてオープンにしたことで、従業員の間にも自分たちの声で「制度は変えられるんだ」という感覚が徐々に浸透していきました。このような経験を重ね、私自身も「従業員との対話」を重ねることの大切さを感じていますし、組織の中の課題解決には不可欠だと思っています。
自主的な議論を引き出し新ビジョンを策定
――2025年からは新たな経営基本方針がスタートしました
岡田: 世田谷区の基本計画が7年単位になったことに合わせ、当社も「区や区民にとって必要とされる存在であり続けるためには、何をしなければならないか」をテーマに据えた、7年間の経営基本方針を策定しました。ここでもアビライトさんの支援を受けました。特徴的だったのは、コンサルティング会社にありがちな「用意されたビジョンを当てはめる」のではなく、管理職・プロジェクトメンバーたちとアビライトさんを交えて何度もワークショップを重ねて、目標や求める人材像も含めて自らの言葉で考え、議論してつくり上げたことです。その過程でもアビライトさんは、必要以上に口を出すのではなく、例えれば「白紙とマーカーを渡すので自由に描いてください」というようなスタンスで支援役に徹し、あくまでも自分たちで考え抜くプロセスを尊重していただきながら、うまく議論をファシリテートしてくれましたし、私たちの想いを「それは、こういうことですよね。」と明確化してくれました。これは非常にありがたく、私たちにとっての自信と納得感につながったと思います。
――改革の成果として現場ではどのような変化が見られますか
岡田: まだ道なかばですが、こうした一つ一つの取り組みの積み重ねによって、従業員の「制度は変わらないもの」という固定観念がなくなり、「変えられる」「動かせる」という意識が芽生えてきたことが、大きな一歩だと思います。もちろん実際に運用が始まると、いろいろと新たな課題や戸惑いが出るかもしれませんが、それも含めて当社で働く一人ひとりが、自分の叶えたい働き方や成長を考える機会になると考えています。
今後も改革を後押しするパートナーとして協力を
――最後に、今後のアビライトに対する期待をお聞かせください
岡田: まずは現在進行中の人事考課制度をきちんと運用し、定着させるところまで一緒になって伴走していただければと希望しています。そして、特に施設の現場で働く800人のスタッフが、さらに能力や資質を発揮できるような制度設計にも挑戦したいと考えています。高齢者、障害のある方々を含め、多様な人材が活躍できる環境を整えていきたいと考えています。それが、組織としての強みになります。
当社のような中規模の従業員数においては、柔軟な制度づくりに挑戦できる組織規模です。しかし、人事制度を動かすには専門知識と知見が必要です。しかし専門家等を採用することは難しいのが現状です。だからこそ、必要な専門領域のプロであるパートナーが「机の隣」でいつでも支えてくれる存在になってくれるのは、本当に心強いことです。これからも当社だからこそできる「独自の組織づくり」、「ユニークな組織像」の実現を、アビライトさんと一緒になって目指していけたらと思っています。
制度改革に取り組む、プロジェクトメンバーの皆さん
(インタビュアー:外部ライター 津田)
当社からのコメント
世田谷サービス公社様とは、約9年間のお付き合いになります。今回取材をお受けいただいた岡田社長の就任を経て、組織・人事制度改革のスピードが更に増しました。インタビューの中で、「従業員一人ひとりが更に会社への愛着を持つことで、会社は成長・発展していく」と語ってくださいました。その言葉の通り、トップダウンではなく組織主体で、一人ひとりのキャリア形成に必要な制度構築に真摯に取り組まれています。毎月の戦略会議の中で、意見がぶつかりあい議論になることも、「それこそが本当の意味での組織力を高めるための大切なプロセスである」と考え継続されている、世田谷サービス公社様。
「働く人々が自身の力に気づき、互いを高め合う環境こそが、組織を強くする」──この共通のビジョンのもと、ともに歩ませていただけることは、私どもにとっても喜びであり、やりがいです。今後も、一人ひとりが輝く組織づくりへの挑戦に、良きパートナーとしてお力添えできるよう、精一杯努めてまいります。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
他インタビュー記事リンク https://www.abilight.co.jp/work_case/